2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

どこにもないりんご

そこへどんが 「実はぼく、てがみをもらったんだ。どこにもないりんごをさがさないかって」 ごそごそかばんの中を探してから一通の手紙をもってきた。 「これがその手紙なんだけど『招待状』って書いてあるんだ。」 ぼくたちは頭をつけあってその手紙を見た…

どこにもないりんご

ぼくは悟(さとる)小学4年生だ。 けさも学校に行ったら友達が先に来ている。 「おはよう」 「おはよう」 秀才が「おい、どこにもないりんごって知ってるか?」 というので 「どこにもないりんご?知らないなあ」と答える。 その声につられてあまねちゃんと…

どこにもないりんご

「暗いよー。狭いよー。ひとりぼっちだよー。 ぼくはどこにもいない。」 真っ暗ななか声だけが聞こえる。 「ぼくはどこにもないりんご。ぼくを探して。」 さみしそうな声が聞こえる。 あまねは叫んだ。 「探してあげる。きっとみつけてあげるからね。」 あま…

夕なぎ8

若旦那とはつの結婚式は 親戚とやとっている人を集めて盛大に行われました。 「みんなもはつを助けてやってくれ」 若旦那はいろいろ噂するものがあることを 知っていてはつのことを公にしたのです。 はつは幸せでした。 若旦那は優しい人でますますはつを大…

夕なぎ7

はつは昭介からもらったかんざしを胸にしまい 大事にしていました。 けれども悲しみはすこしずつおさまってきていました。 それから3年。はつはちりめんを上手にうるようになり 若旦那の助けとなるようになったのです。 ある日若旦那ははつを呼び 「おはつち…

夕なぎ6

はつはやっと何かやってみたいと思うようになり じっくり考えていました。 ふとんをたたみ 身支度を整えると やってきた若旦那に 「旦那様、旦那様が優しくしてくださったおかげさまで 私も起き上がれるようになりました。 恩返しがしとう存じます。 どうか…

夕なぎ5

仕事ができなくなったはつですがその噂は廓中にひろがりました。 その理由を聞いて ちりめん問屋の若旦那が言ってくれたのです。 「おはつちゃんをこのままにしておいてはだめだ。 うちで心の傷をなおしてやりたい。 身請けしたいのでお願いするよ。」 たく…

夕なぎ4

はつはついに吉原にうられていきました。 吉原ではいろんな勉強をしました。 客の扱いも勉強しました。 そして客をとるようになり 毎日昭介を思い悲しい日々をすごしました。 昭介にもらったかんざしをつけて 苦しい時も昭介のことを思ってすごしました。 昭…

夕なぎ3

はつは昭介に会っていいました。 「わたし吉原に売られることになったの。 もうお嫁には行けないね。 ごめんなさい。」 「つらいのはおはつちゃんのほうだ。 しかたないのかい? そんなとこ行かしたくない。 でも、どうしてもしかたがないなら きっと迎えに…