どこにもないりんご
ぼくは悟(さとる)小学4年生だ。
けさも学校に行ったら友達が先に来ている。
「おはよう」
「おはよう」
秀才が「おい、どこにもないりんごって知ってるか?」
というので
「どこにもないりんご?知らないなあ」と答える。
その声につられてあまねちゃんとどんとが寄ってくる。
「なになに?教えてよ」
あまねちゃんが秀才に聞く。
秀才は得意げに
「昔の石板に『どこにもないりんごを見つけたものは時間を自由にあやつれる』って書いてあったらしいんだ。最近小説家の志田レンがどこにもないりんごを探しにいくとか言ってるらしい。でもまだ誰もみつけたことがないらしい。探してみたいなあ。」
僕は興味があるので
「本当かどうかわからないんだろう?探すっていってもあまりにも漠然としているからなあ。」
というとあまねちゃんが
「あるわよ。どこにもないりんご。わたし夢で見たもの。
暗くてせまいところにひとりでいるの。僕をさがしてって言ってたわ」