夕なぎ7
はつは昭介からもらったかんざしを胸にしまい
大事にしていました。
けれども悲しみはすこしずつおさまってきていました。
それから3年。はつはちりめんを上手にうるようになり
若旦那の助けとなるようになったのです。
ある日若旦那ははつを呼び
「おはつちゃん、本当によくやってくれてありがとう。
わたしも助かっているよ。
どうだろうおはつちゃん、わたしの嫁になってくれないか?
おはつちゃんのことは大事にするよ。」
はつはびっくりしました。
けれどもずっとやさしく助けてくれた若旦那のことを
こばむことはできませんでした。
何もかも知っていてそう言ってくれる若旦那。
涙があふれてきました。
「旦那様、ありがとうございます。
こんなわたしでよかったらお嫁さんにしてください。」