夕なぎ6

はつはやっと何かやってみたいと思うようになり

じっくり考えていました。

ふとんをたたみ

身支度を整えると

やってきた若旦那に

「旦那様、旦那様が優しくしてくださったおかげさまで

私も起き上がれるようになりました。

恩返しがしとう存じます。

どうかちりめんを売る仕事をさせてください。」

 

「おはつちゃん、だいじょうぶかい?

無理しなくていいんだよ」

 

「大丈夫です。そろそろ寝てばかりではなく

働きたいと思うようになりました。

これも旦那様のお心遣いのおかげです・」

 

「そうかい。じゃあ簡単なしごとから勉強してもらおうか。

おはつちゃんが働いてみたくなってわたしもうれしいよ。」

 

はつはそれから一生懸命にちりめんのことを勉強しました。

覚えるのも早く、お客さんにちりめんをすすめるのもうまく

いい働き手となっていきました。