夕なぎ3

はつは昭介に会っていいました。

「わたし吉原に売られることになったの。

もうお嫁には行けないね。

ごめんなさい。」

「つらいのはおはつちゃんのほうだ。

しかたないのかい?

そんなとこ行かしたくない。

でも、どうしてもしかたがないなら

きっと迎えにいくよ。

それまで待ってて。」

 

それからは毎日会いました。

 

そして吉原に行くという日の前の日に

昭介はべっこうのかんざしをひとつ持ってきて

はつに渡すと

「これだけしか買えないけど、

これをぼくだと思ってつらいときも辛抱してね。

手紙書くよ。ずっとおはつちゃんのこと大事に思ってること忘れないで。」

「ありがとう昭介さん。無理しないでね。」