夕なぎ8
若旦那とはつの結婚式は
親戚とやとっている人を集めて盛大に行われました。
「みんなもはつを助けてやってくれ」
若旦那はいろいろ噂するものがあることを
知っていてはつのことを公にしたのです。
はつは幸せでした。
若旦那は優しい人でますますはつを大事にしました。
はつは相変わらず店に出てちりめんを売っていました。
その働きぶりはやとわれているものたちからも慕われるように
なりました。
中には遊郭から来たはつをよく思わない者もいましたが
そういうことからも若旦那ははつを守ってやっていました。
ようやくつかんだ
まるで夕なぎのような穏やかな幸せを
ゆっくりと味わいながら
はつはこれからも旦那様を愛していこうと
思うのでした。
おわり