夕なぎ1

江戸時代中期の話。

百姓の家にうまれた「はつ」は

幼馴染の昭介と少し前に恋仲になり時々逢っています。

はつは昭介が大好きです。

河原で横に座ってお話しするのが楽しくて時間を忘れてしまいます。

昭介もはつが大好きでとても大事にしてかわいがっています。

 

「おはつちゃんはとってもかわいいよ。笑顔がとってもすてきだ」

「ありがとう。そういわれたらうれしくてもっといい笑顔になれそうだわ」

「僕は家の跡取りだからあとをとったらきっと嫁に来ておくれよ」

「うれしい。いいお嫁さんになれるようにがんばるわ」

 

話すことはなにげない話ですが、

その時間は充実した幸せな時となっていました。

 

 

ひとつの小説を書き終えて

ある人にすすめられて小説を書いてみた。

考えながらすこしずつ書いたのだが

ちゃんと書けた。

小説は嘘でできている。

わたしも登場人物などに嘘の人間を作って

ストーリーも考えてかいていった。

その中にわたしに起こった本当のことも書いて入れた。

 

書き終えておもったよりすっとしたり

楽しかったりしないなと思った。

 

新しい小説をまたかいてみたいけど

材料がないなあ、どうしよう・・・。

 

小説10

平和な日々が戻ってきた。

のぶ子はもう書き込みを気にすることはなくなっていた。

達也のおかげもあるけど、ファンの中に自分のことを最後まで味方してくれた人がいたことは大きかった。

 

一人いるだけでもしかしたら他にも味方がいるかもしれないと思うことができた。

自分を信じてくれた恵子の存在は大きかった。

 

収束したことでのぶ子は恵子にお礼を言いたいと思った。

いつまでも甘えていてはいけない。のぶ子はこれを最後の電話にすることにした。

 

 

「もしもし恵子さんですか?のぶ子です。

達也さんがブログを書いたことと私が同じ内容で投稿したことで

掲示板はおさまりました。ありがとうございます。

 

もう掲示板のことは気にしません。

恵子さんが味方になってくれたおかげで私も強くなれました。

ありがとうございます。」

 

「いいえ、力になれなくてごめんなさい。

掲示板も達也さんのブログものぶ子さんの言葉も

読んでいましたよ。

 

達也さんはのぶ子さんを大事に思っていたんですね。

ところで、友人関係もやめるって本当ですか?」

 

「そうなんです。もう電話もかけないでほしいといわれました。」

「そうなの、しかたないですね。

いつまでも達也さんと仲良くしていたら

新しい恋もできないでしょうしね。

よかったんですよ。これで。」

 

「電話で話を聞いてくれた恵子さんのおかげで

前をむいていきていくことができました。

ありがとうございます。

甘えてばかりですみませんでした。

お電話も最後にしたいと思います。

希望がもてるようになりました。

ありがとうございました。」

 

「そうですか。危機的状況を脱することができてよかったです。

こちらこそありがとうございました。」

 

電話を切るとのぶ子は

このことを自分だけが読む小説にしようと決意した。

小説にすることで客観的に出来事をとらえることができるような気がした。

まだ心にある達也のこともきっとふっきれると思った。

 

のぶ子はパソコンに向かい、新しいページに自分に起きた出来事を書き始めた。

 

                     おわり

 

 

 

小説9

のぶこは達也と友人関係も断られたことがショックだった。

電話をきってからいろいろなことを考えて涙をながした。

 

それからしばらくして、達也が事件以来更新していなかった自分のブログを更新した。

のぶこはをれを知ってブログを読みにいった。

 

「ご報告

このたび週間誌にぼくと山中のぶ子さんとが交際しているという記事がのりました。

そのせいでみなさんはいろいろな憶測をしておられることと存じます。

ぼくのほうからいえることは、ぼくとのぶ子さんとは交際していたことはありますが、今年の3月17日をもって交際はやめ、友人としてつきあっていこうということにしたということ。

そのあと友人関係も一切やめ、お付き合いはしていないということです。

 

週刊誌の写真は友人として一緒にいたところを撮られたもので、熱愛中といわれてしまいましたが、事実は全く違っており、僕たちは恋愛関係ではありません。

事実をお伝えいたします。」

 

達也の文章を読みながらもう二度と恋人にはなれないのだとのぶ子は思った。

 

掲示板では一時的には噂が大きくなっていたが達也がはっきり事実を書いたことで

だんだんとみんな納得して熱愛関係のことはあまりかかれなくなっていた。

 

達也はのぶ子をそういう形でまもったのだ。それはのぶ子にもよくわかった。

それを受けて、のぶ子も自分のホームページに

 

「この度週刊誌で騒がれた奥野達也さんとの記事ですが、

過去には恋人だったこともありますし、その後友人だったこともありますが、

今は友人関係もやめることにし、付き合いはありません。

ご心配をおかけしてもうしわけありませんでした。」

と書いた。

 

のぶ子も達也との関係を書いたことで掲示板は収束し、別の話題がかかれるようになった。のぶ子は安心し、それからは掲示板をみていない。

 

小説8

恵子はのぶこをなぐさめてから

「もう掲示板を見ないほうがいいですよ。達也さんともよく話し合って・・」

「はい。見るたびに心が沈むのでわたしも見ないようにしたほうがいいとは思うんですけど気になって。達也さんとは連絡をとってみます。どうしたらいいか相談してみますね。」

「のぶこさんが気にしないようにできれば一番いいんですけど・・・」

 

電話を切ると、のぶこは今度は達也に電話してみた。

「もしもし達也さんですか?のぶこです。掲示板のことでどうしたらいいか相談したほうがいいと思って・・・」

「のぶこか?掲示板はあれてるなあ。みんな勝手なことを言ってる。事実とは違うことばっかりだ。もうこうなったら僕のほうからブログで君との関係を書いておこうと思う。そのあとはほおっておくつもりだ。反論してもきりがないからね。

のぶこは何もしなくていいよ。」

 

「ありがとう。そうするしかないかもね。

また電話していい?」

「電話はもうやめたほうがいいかもしれない。僕たちは友達もやめたほうがいいと思う。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小説7

恋人ではないというのは嘘ではない。けれどもそう書かれるとまたこころが揺れた。

のぶこは今でも達也のことが好きなのだ。

 

掲示板は恵子の投稿でかえって火に油を注ぐようにあれていた。

信じる人と信じない人がいて言い争ったり恵子の投稿を非難したりする人もいた。

のぶこはまた恵子に電話をかけた。

「のぶこです。書き込みありがとうございました。」

「余計にあれちゃったみたいでどうしようかと思っていました。

あれでよかったですか?」

 

「あのう。あれでいいんですけど、また恋人に戻ったらどうしよう・・・。」

恵子はびっくりした。恵子が恋人じゃないというから書いたのにまた恋人に戻る可能性があるのだろうか?のぶこは揺れている。

恵子はため息が出た。

 

恵子が言葉をなくしていると

のぶこは「ごめんなさい。恵子さんがいいとおもうようにやってください。

疲れているんです。不安で・・・」

「あまり根を詰めないですこし休んだほうがいいですよ。」

 

 

気をとりなおした恵子は、電話を切ると、KOTTOに行って

「中傷誹謗はやめてください。」と何度か書いてみた。

すこしはおさまるかとおもったが

それでも掲示板は荒れたままだった。

 

その様子はのぶこも達也もみていて心を痛めていた。

 達也のことを思うとのぶ子はあまずっぱいような苦いような気持ちになった。
 

3日たった頃、またのぶこは恵子に電話をかけた。

「たびたびすみません。もうどうしたらいいかわからなくて・・」

 

 

 

 

小説6

「そうだったんですか。掲示板も二人を恋人だと思うからあんなに荒れたんですよね。

達也さんはどういってるんですか?」

 

「怒ってます。週刊誌にもファンの行動にも。今は巨大掲示板KOTTOでの発言を見ていて怒っています。」

 

「わかりました。わたしなりに巨大掲示板で発言してみますね」

そのあとすこし近況など話て電話を切った。

 

のぶこは少し楽になった気がした。

昨日から眠ってないことを思い出し、布団に入った。

そして、やっとゆっくりねむることができた。

 

おのぶ子はゆっくり眠って目がさめた。

電話をしてよかったと思った。

おそるおそる巨大掲示板KOTTOをのぞいてみるとあいかわらずあれていた。

 

そこに「二人は恋人同士じゃないと思います。ある確かな筋からの情報です。」

と書き込みがあった。恵子に違いない。