小説10

平和な日々が戻ってきた。

のぶ子はもう書き込みを気にすることはなくなっていた。

達也のおかげもあるけど、ファンの中に自分のことを最後まで味方してくれた人がいたことは大きかった。

 

一人いるだけでもしかしたら他にも味方がいるかもしれないと思うことができた。

自分を信じてくれた恵子の存在は大きかった。

 

収束したことでのぶ子は恵子にお礼を言いたいと思った。

いつまでも甘えていてはいけない。のぶ子はこれを最後の電話にすることにした。

 

 

「もしもし恵子さんですか?のぶ子です。

達也さんがブログを書いたことと私が同じ内容で投稿したことで

掲示板はおさまりました。ありがとうございます。

 

もう掲示板のことは気にしません。

恵子さんが味方になってくれたおかげで私も強くなれました。

ありがとうございます。」

 

「いいえ、力になれなくてごめんなさい。

掲示板も達也さんのブログものぶ子さんの言葉も

読んでいましたよ。

 

達也さんはのぶ子さんを大事に思っていたんですね。

ところで、友人関係もやめるって本当ですか?」

 

「そうなんです。もう電話もかけないでほしいといわれました。」

「そうなの、しかたないですね。

いつまでも達也さんと仲良くしていたら

新しい恋もできないでしょうしね。

よかったんですよ。これで。」

 

「電話で話を聞いてくれた恵子さんのおかげで

前をむいていきていくことができました。

ありがとうございます。

甘えてばかりですみませんでした。

お電話も最後にしたいと思います。

希望がもてるようになりました。

ありがとうございました。」

 

「そうですか。危機的状況を脱することができてよかったです。

こちらこそありがとうございました。」

 

電話を切るとのぶ子は

このことを自分だけが読む小説にしようと決意した。

小説にすることで客観的に出来事をとらえることができるような気がした。

まだ心にある達也のこともきっとふっきれると思った。

 

のぶ子はパソコンに向かい、新しいページに自分に起きた出来事を書き始めた。

 

                     おわり